子どもが生まれたばかりの頃、赤ちゃんに絵本を読み聞かせることを想像するだけで温かい気持ちになりました。「座れるようになった赤ちゃんを膝の上にのせて絵本をめくるのはどんなに楽しいだろう、初めて読んであげる絵本はどんな本にしよう、きれいな色づかいの本がいいな」などと、図書館や絵本売り場に行っては想像をめぐらせました。
しかし、想像と現実はやはり違うものです。息子が0歳の頃、夢だった「膝の上に座らせて絵本の読み聞かせる」ことをしたときです。絵本を読み聞かせようとしても、乱暴にページをめくってばかりで、まったくじっとしていませんでした。私が声を出して文字を読もうとしても、どんどんページをめくるので字を追うこともできません。これには少しイライラしたのを覚えています。
「どうしてうちの子は絵本を楽しむことができないのかな、興味がないのかな」と、ママの膝におとなしく座っている他の赤ちゃんと比べて心配したり、落ち込んだりしたこともありました。
ところが、子どもが成長して、電車や動物、果物の絵本に夢中になった時、「ああ、あの頃は絵本のページを自分でめくることを楽しんでいたのだ」と気がつきました。
自分の好きなペースで、本のページをめくるというその動作は、まるで自分が世界をコントロールしているように楽しく感じたのでしょう。そういえば、小さな指で何度も何度もページをめくっていました。
赤ちゃんと絵本の初めての出会いを、「親が赤ちゃんを膝にのせて、ゆったりとした気分で絵本を読んであげること」と私は想像していましたが、息子の楽しみ方は「自分のペースで絵本をめくること」から始まっていたようです。きっとそれもまた、赤ちゃんだったわが子にとってはワクワクする絵本との出会いだったのでしょう。
絵本の楽しみ方も、好きな絵本の種類も、興味を持つ時期も、赤ちゃんによって違いますが、ママと一緒に絵本に触れる時間は、赤ちゃんにとっても幸せな時間です。大切にしたい時間ですね。