エンゼル110番の相談員は、もう子どもが成人している者が八割近くを占めています。そんなお母さん歴の長い相談員から「育児が楽になったのは、『あきらめる』ことができたときかな。なかなかできないけどね(笑)」という話をよく聞きます。
親は、子どもが小さいときは「大きくなってほしい。健康に育ってほしい」という気持ちから「母乳やミルクをたくさん飲んで」「離乳食を好き嫌いなくたくさん食べて」「睡眠はしっかり取って」と願います。でも、思うように飲んでくれなかったり、好き嫌いがあったり、なかなか寝ないでグズグズしたり、子育ての最初から親の思いは裏切られることがしばしばあります。
やがて幼稚園や小学校の集団に入る頃になると、「この子の可能性を伸ばしてあげたい」と習い事をさせたり、塾に行かせたり。子どもに「○○をやりたい」「将来は○○になる」と言われると、なんとしても応援してあげたいと思いますよね。中には才能を発揮する子や順調に成績を伸ばす子もいるでしょう。でも、全員がそうではありません。習い事を嫌がったり、思うような結果が出せなかったり。その後の進学や就職も同じです。
親の期待通りの人生を歩んでくれる子は、そうそういないと思います。だって、子どもも一人の人間として、自分の意思を持っています。親子とはいえ別々の人間なのですから、親の思い通りにはなりませんよね。
だから、お子さんがなかなか泣き止まずに困ったときは「そうなの。今日は泣きたい気分なんだね」「元気な泣き声だね。泣き顔もかわいいよ」と言ってみましょう。思ったように離乳食を食べてくれなくても「いつかは食べるようになるよね」「一生母乳やミルクを飲んでいる子はいないものね」と笑ってみましょう。きっと、気持ちが楽になりますよ。