生まれたばかりの頃は、自分で思い通りに体を動かすことすらできなかった赤ちゃんも、1歳を過ぎる頃になるとだんだん歩けるようになります。さらに、泣くことしかできなかったのが、大人の言うことを理解し言葉もいくつか話すようになるなど、知恵もついてきます。赤ちゃんの成長は、たった1年ですごいですよね。そして赤ちゃんから幼児になると、今度は「自分でできる」嬉しさがある半面、「自分でできない」ことへの不満やいら立ちの感情も出てきます。それを子どもが身近な大人にぶつけてくるのが2歳前後です。
 思い通りにならないと、ひっくり返って泣いたり、すねたり。ママがいろいろな方法であやしてもなかなか機嫌が直らず、つい「いいかげんにして!」とママまでイライラしてきますよね。こうした状態は程度の差こそあれほとんどの子どもに起こることです。ママの育て方が悪いわけでも、子どもの性格が悪いわけでもありません。今はそういう時期、割り切ってつきあいましょう。

「だだっ子」取り扱いの極意

1.抱っこしたり、そばで見守ったりして、まず落ち着くのを待ちましょう。子どもが興味を持っていることなどで気分転換を図るのもよいでしょう。
2.「○○が欲しかったんだね」「○○ができなかったのね」などと、そのときの子どもの気持ちを言葉にして「ママはわかっているよ」と伝えましょう。
3.子どもの思いに沿えるときや、どうでもよいことについては大人が譲歩しましょう。
4.子どもの思いに沿えないときは、「気持ちはわかる。でも、それは危ないからだめだよ」と、ママがぶれずに根気強く短くわかりやすい言葉で伝えてください。全部はわからなくても、ママは気持ちをわかってくれているけど、今はダメというのが伝わるものです。
5.すぐに機嫌が直ることは少ないでしょう。でも、思い通りにならないことがあっても我慢したり、自分の気持ちを切り替えたりすると、「ママがほめてくれる、気分がすっきりする」といったよいことがあるというのをわかることが大事です。

 こうした状態を一瞬で解決する方法はありません。泣きわめく子を前に冷静でいられる親は少ないでしょう。でも、まずは親の怒りをしずめ、落ち着きましょう。子どもは周りを困らせようとしているのではなく、成長過程の大きな階段を上ろうとしているのです。思い通りにできない「自分」をどう受け入れ、折り合いをつけていくのか、自分をコントロールする練習をしているのです。
 この時期はいつまでも続くわけではありません。3歳頃になると、子どもは自分の気持ちだけでなく相手の気持ちにも思いがいたるようになります。また自分で自分の気持ちをコントロールする力もでてきます。1-2歳児は、「だだ」や「かんしゃく」を起しながら、これらの力を育てているのです。