子どもの自我が芽生える1、2歳を過ぎる頃から、「全然言うことを聞かない」「叱っても同じことを何回も繰り返す」というママの声が多く聞かれます。「大きくなってからしつけがなっていないなんて言われないように、今ちゃんとしつけなくちゃ」と焦るママの親心が、電話の向こうからひしひしと伝わってきます。
「しつけ(躾・仕付け)」という言葉を広辞苑で調べると、<礼儀作法を身につけさせること。または、身についた礼儀作法のこと>、「礼儀」とは、<人間関係や社会生活の秩序を保つために人が守るべき行動様式。特に敬意を表す作法>とあります。
裁縫のとき、きれいに仕上がるように仮止めをすることを「しつけ縫い」といいますね。また、農作業で苗をまっすぐ育てるための植え付けの作業を、「仕付ける」ともいうそうです。
子育ての中での「しつけ(躾・仕付け)」は、短期間にできるわけではなく、時間をかけてじっくり取り組む「大人の根気」が必要なのです。
言葉で教えたり、叱ったりするだけが「しつけ」ではありません。言葉がわからない時期でも、子どもはママやパパのことをよく観察してマネをします。近所の人と挨拶を交わしたり、お礼を言ったり、謝ったりする普段の大人の姿そのものが立派なお手本になるのです。危険ないたずらや、他人を傷つけることなどには「ダメ」を言わなくてはいけませんが、きちんとその理由を伝えましょう。また、いつも「ダメ」と言わなくてもよいように身の回りの環境を整え、我慢ができたときはしっかりほめることで、我慢することの大切さが伝わります。
「しつけ」って難しいと思い、つい肩に力が入ってしまいがちですが、「しつけ」をもっとシンプルに考えてもよいのではないでしょうか?何より大人が愛情を持って子どもと接し、大切に育むことが「しつけ」の第一歩になると思います。