赤ちゃんが泣いたり、ぐずぐずして後を追ってきたりしたときに、いつも抱っこばかりしていると「我慢ができない子になってしまうのではないか…」という相談が入ることがあります。赤ちゃんの要求に毎回こたえ、それが当たり前になっていると、大きくなっても続くのではないか、甘やかしているのではないかと思い悩むようです。
乳幼児期は、快・不快、好き・嫌いで行動する自己中心的な時期です。何かが嫌だったり不安だったり怖かったりしたときに、大好きなママやパパ(信頼できる大人)に抱っこしてもらい、赤ちゃんは安心し、気持ちを立て直すことができるのです。そして抱っこされて「ああよかった、大丈夫」と安心できた経験をたくさん積んで、だんだん自分で感情をコントロールできるようになるのです。抱き癖がつくからと抱っこしないと、赤ちゃんは逆にまとわりつくようになります。特に1~2歳ころまでは、愛情を持って、よしよしとなだめたり抱っこしたりすることは、甘やかしとは考えなくてよいのではないでしょうか。ママやパパに十分甘えることで次の世界を広げていけるのです。
成長して、言葉の理解も進み、少し我慢ができるような年齢になってくると、甘えの表現は複雑になってきます。ママやパパが子どもの甘えたい気持ちに気づくことが大切です。「さみしいんだね」「遊びたいんだね」と気持ちを分かっていることを伝えましょう。忙しいとき、すぐに応えられないときも、頭ごなしに拒否するのではなく「ちょっと待っててね」と声をかけて、待っててくれたら、「待っていられてえらかったね」「ありがとう」などと褒め、子どもとスキンシップをとるのもよいと思います。
気をつけたいのは、子どもができることをいつも周りの大人が先回りをして何でもやってあげてしまうことです。やりすぎると、子ども自身が困ったときや悩んだときなどいろいろな場面で、適切な行動、対処ができなくなり、自立の妨げになります。この場合は、甘やかしといえるでしょう。
甘えはネガティブなイメージがあるかもしれませんが、決してそうではなく甘えながら自立していくもの、と捉え、たくさん甘えさせてあげてくださいね。