「育児書に“赤ちゃんの寝室は暗くして、大きな音を立てないようにしましょう”とあり、親もTVや音楽を我慢しています。それでも時々レジ袋のカサカサッとした音やドアを閉める音、脱衣場のドライヤーの音でも目が覚めてしまうことがあります。音を立てない生活は親にとってもストレスですし、逆に『音に敏感なのでは?神経質な子になるのでは?』と戸惑っています」とのご相談がありました。

赤ちゃん中心の生活が始まり、親として環境を整えてあげたい気持ちはよくわかります。ただ、息をひそめて暮らすにも限界がありますし、正直なところ疲れてしまいますね。

では、なぜそのような音で赤ちゃんは目を覚ましてしまうのでしょうか?それは赤ちゃんと大人では聞こえる周波数が違うからなのです。赤ちゃんの耳が聞き取りやすい音は、レジ袋の擦れる音やドライヤーの機械音、掃除機をかける音などで、大人より高音です。これらの音は周波数が高いため、住環境の違いから赤ちゃんによっては不快だったり過敏だったりして、目を覚ましたり泣き出すこともあるようです。

また、生まれて数カ月は、ドアをバタンと閉める音や物を落とした音など、急な大きな音に時々ビクッと反応することがあります。これはモロー反射といわれ、生後 0~4カ月ころまでにみられる正常な反応です。生後4カ月以降になると、大体のお子さまにはモロー反射がみられなくなります。

それでは、家庭の中でどう音と付き合っていけばよいのでしょうか?専門家によれば、静かすぎるといけないということはないとのこと。できるだけ騒音は避けたいですが、日常生活の音は親子が一緒に暮らしていく上である程度は必要ですし、お子さまも慣れていくものです。そして目が覚めてしまったら「あら起きたの?よいお耳さんね」と抱っこしたり、「泣かなくても大丈夫、ここにいるよ」などママやパパの声を聞かせたりしてあげてください。そんなことを繰り返しているうちに、気がつけば多少の音でも慣れていくでしょう。

参考文献「赤ちゃんのぐずり泣きが止まる本」日本音響研究所所長:鈴木 創氏

出典「すくすく子育て」医学博士:榊原 洋一氏